濡れ衣を着る
濡れ衣は、平安時代ごろから無実の罪、根も葉もない噂などの意味で使われるようになりました。語源にはさまざまな説がありますが、ある昔話もそのひとつです。継母が先妻の娘の美しさを妬んで漁師の濡れた衣を娘の枕元に置いたところ、父が娘と漁師の関係を誤解して娘を殺してしまいました。娘は翌年、父の枕元に現れ「濡れ衣の 袖よりつたう 涙こそ 無き名を流す ためしなりけれ」という和歌を詠んだことが伝えられています。現在は娘を供養する「濡衣塚」(福岡市博多区)が建てられています。
このコーナーでは着物にまつわる雑学をご紹介していきます。着物から生まれたことわざや習慣は身のまわりにたくさん。その意味を知り、ルーツをたどることで、着物がより身近な存在になるのでは?