真綿
玉繭やくず繭などは、繰糸による糸の引き出しができないため、煮てセシリンを除き、綿状に伸ばして真綿にします。こうして作られる真綿は丈夫で軽く、保湿力があることから防寒に使われてきました。また、真綿を少しずつ引き出して手で撚り合わせて紡いだものが紬糸で、結城紬などの紬織物に使われます。高価でも紬に普段着のイメージがあるのは、かつてくず繭から作られていたためです。「真綿に針を包む」という言葉は、表面は優しいが、内面は意地が悪く敵意を抱いていることのたとえとして使われます。
このコーナーでは着物にまつわる雑学をご紹介していきます。着物から生まれたことわざや習慣は身のまわりにたくさん。その意味を知り、ルーツをたどることで、着物がより身近な存在になるのでは?